句読点とは

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【句読点とは】

 文章中でよく見る「。」や「、」といった記号。この二つの記号はそれぞれ「。」を句点、「、」を読点と言って、二つ合わせて「句読点」と呼んでいます。
 読点は文節(文章の間)、句点は文末(文章の終わり)につける記号です。使用方法には絶対なルールがあるわけではないので、最初は「読点は声に出して読んだ時に息つぎをするような場所」につける。「句点は文章の最後」につけるとだけ覚えればいいでしょう。それでもなんだかよく分からないというのなら、「書く」だけでなく、本を「読む」のもオススメです。
 そこからもっと上達したい、と思った時にはこの先に書いてある部分にも気をつけてみて下さい。
 特に携帯等でのメールには使用されたりされなかったりする事が多いですが、「小説を書く」場合にはこの句読点だけで文章の意味や印象が変ってしまう、とても重要なものです。


【どうしてつけるのか】

 どうして句読点をつけるかというと、「必要だから」です。ではどうして必要なのかというと、「つけていない文章は読みづらいから」です。
 例文を用意してみたので、読み比べてみて下さい。


《例文1》
 ダイスケは帰りのホームルームを終えると学校の廊下を歩いていた下駄箱まで行くと丁度靴をはきかえているヒカリを見つけた彼女も今から帰るところらしいが周りには誰もいないどうやら今日は一人で帰るらしいこれは一緒に帰るチャンスだとダイスケは声をかけようとしたが一足早くヒカリを呼ぶ奴がいたダイスケの天敵でもありちょっと顔が良いからといって女の子をたぶらかすフラチなヤロウタケルである


《例文2》
 ダイスケは、帰りのホームルームを終えると、学校の廊下を歩いていた。下駄箱まで行くと、丁度靴をはきかえているヒカリを見つけた。彼女も今から帰るところらしいが、周りには誰もいない。どうやら今日は一人で帰るらしい。これは一緒に帰るチャンスだと、ダイスケは声をかけようとしたが、一足早くヒカリを呼ぶ奴がいた。ダイスケの天敵でもあり、ちょっと顔が良いからといって女の子をたぶらかすフラチなヤロウ、タケルである。


 1番が句読点がまったくない文章、2番目が句読点をつけた文章です。
 句読点をつけない代わりにスペースを開けることで文節を表現しようとする人も見かけますが、それでも句読点をつけた文章よりも読みにくく感じてしまいます。
 私達が実際におしゃべりをするのと同じ様に、文章を読む時も、読み手は頭の中でリズムを作って小説を読んでいます。そのリズムを刻む時に必要なのが、「句読点」なのです。書き手の中にはリズムが生きていたとしても、それを読み手に伝えられないのならば意味がありません。
 難しいことを考えるのが苦手――身体で覚えるというタイプの人は、本当に初歩の初歩「息つぎをするところを意識する」程度でも句読点をつけてみて下さい。息つぎをするところというのは、歌でいうところの「ブレス」です。書いた文章を一度自分で声を出して読んでみて、自然と息を吸うような所で区切ってみて下さい。それだけで読みにくさは改善されるはずです。


【基本的なルール】

 つける場所によって読みやすくなったり、逆に読みにくくもなってしまう句読点。絶対的なルールはありませんが、「基本的にはこんな所にはつけるよ、つけないよ」というルールをまとめてみました。


@読点は文節、句点は文末につける。

 国語の教科書にのっている文節の定義は、「文を意味がわかる範囲でできるだけ小さく区切ったもの」です。ちょっと分りにくいですが、学校の先生なんかは「文の途中にネやサを入れてみてもおかしくないところで区切る」なんて教えてくれたりします。


《例》


@拓也は進化してアグニモンの姿になった。
  ↓
A拓也はネ、進化してネ、アグニモンのネ、姿にネ、なったネ。
  ↓
B拓也は、進化して、アグニモンの、姿に、なった。


 しかし、先にも言った通り、文章の読みやすい読みにくいはその文章全体の印象「文体」で決まります。一般的には「読点を多く入れると柔らかい文体に感じる」と言われますが、だからと言って読点が入れられるところ全部に読点を入れてしまうと、Bのように「逆に読みにくい」ということになりかねないので注意が必要です。
 自分で頭の中にリズムを作ってみて、音読してみて、「読点を打つのに適切な文節」を見極めて下さい。
 句点についてですが、こちらは「文末」、つまりは文の最後につけるものです。「〜だ」「〜である」「〜だろう」「〜でしょう」「〜なのだ」「〜と思う」などなど。言い切りの形になっているところを目安としてみると分かりやすいと思います。敬語を使った文章にしようと思ったときに、「です」「ます」がつくところだと考えると分かりやすいかもしれません。
 句読点の打ち方の上達を目指す人にオススメしたいのは、「本を読むこと」です。
 ジャンルはなんでもかまいません。ファンタジーだったり学園モノだったり、SFだったり……。どんな小説でもいいので読んでみて、「この小説は読みやすい」という作品に出会ったら、その文体を参考にしてみて下さい。一冊読んでみてから、その文体をイメージして小説を書いてみて下さい。小説を書くヒントは、読むことで得られることもあるのです。


A「」の中の文章には、最後の文末に句点を使わない。


《例》

×「タカト、そっちは危ないよ。こっちから行こう。」
○「タカト、そっちは危ないよ。こっちから行こう」


 昔の文章では上のように最後にも句点を使うことの方が多く、今でもこうした使い方をする人もいますが、現在では下の文章のように最後の句点は使わない方が主流のようです。


B「!(エクスクラメーションマーク)」や「?(クエスチョンマーク)」の後には句読点をつけない。


《例》

×「ジェン! 協力してくれる?。僕だけじゃ勝てなそうなんだ」
×「ジェン!、協力してくれる? 僕だけじゃ勝てなそうなんだ」
○「ジェン! 協力してくれる? 僕だけじゃ勝てなそうなんだ」


 先に「句読点のつけかたには絶対のルールがない」と言いましたが、ここだけは別。「!」や「?」の後には、句読点をつけません。
 「!」や「?」については別にページを作りましたが、ここでは二つの記号が句読点の代わりと思って下さい。


【区切る場所によって意味が変わる】

 「句読点をつける場所によって印象が変わる」とは先に述べましたが、場合によっては意味まで変わって来てしまうのです。その例文だけでも挙げてみました。


《例》タイチは難しい顔をしながら話すヤマトを見ていた。


 まず上の文章を読んでみて下さい。あれ? と思いませんか?
 難しい顔をしているのはどっち? と聞かれたら、答えられるでしょうか?
 次に、下の文章を読んでみて下さい。


@タイチは難しい顔をしながら、話すヤマトを見ていた。
Aタイチは、難しい顔をしながら話すヤマトを見ていた。


 読点をつけることで、「難しい顔をしているのはタイチ」だと分りました。Aの文章だと「難しい顔をしているのはヤマト」になります。
 次の文章はどうでしょう?


《例》コウジは昨日コウイチと母へのプレゼントを買いに行った。


 また読点を入れてみます。


@コウジは昨日、コウイチと母へのプレゼントを買いに行った。
Aコウジは昨日コウイチと、母へのプレゼントを買いに行った。


 @だと、「プレゼントを買いに行ったのはコウジだけ」で、「プレゼントする相手はコウイチとお母さんの二人」です。
 Aだと、「プレゼントを買いに行ったのはコウジとコウイチの二人」で、「プレゼントの相手はお母さん一人」という意味の文章になります。


【まとめ】

 こんな風に、句読点はつけかた次第で意味が変わってきてしまうのです。ということはつまり、「句読点のつけ方を間違えると書きたかった小説とは全く別物の作品が出来あがってしまう」ということにもなりえます。
 あなたが小説を書きはじめたのはどうしてですか? 「分らないからいいや」ではなく、あなたが本当に小説を書きたいのならば、「自分の思い描いた世界を読者と共有したい」と思うならば、句読点は必ずマスターしなければならないものです。
 上達を目指すのならば、「書く」よりも「読む」ことが近道だったりします。沢山の作品に触れることでその作品の「句読点の使い方」を参考にし、身体で覚え、使えるようになりましょう。自己満足したいだけの文章なら誰にでも書けますが、小説を誰かに読んでもらいたいと思うなら、まずは基本だけでもおさえなければなりません。
 先に言った通り、「文章の読みやすさ」というものは、言葉の選び方ももちろんですが、句読点の使い方によっても左右されます。目の前に「読みやすい小説」と「読みにくい小説」があったら、読み手は「読みやすい小説」を選ぶのが普通です。ストーリーだけならば読みにくい小説の方が面白いかもしれないとしても――わざわざ読みにくい小説を選んで、ストーリーを理解するために苦労したいと思う読者は少ないでしょう。そこからさらに手間をかけて、感想を書きたいと思うような人はもっと少なくなるはずです。
 人に読んでもらいたいと思うなら、まず「面白い小説」よりも「読みやすい小説」を目指しましょう。
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